■寄稿 「スペースシップワンの成功」
はじめまして、私現在ロサンゼルスで航空宇宙エンジニアをしております、
五月女(さおとめ)と申します。
私は東工大を卒業後川崎重工で4年ほど航空機エンジニアをし、
2001年にロサンゼルスへ移住してまいりました。
私がロサンゼルスに移住した目的は、なるべく民間宇宙開発、
特に宇宙旅行に近い場所にいたい、
そして私が独自に提案している宇宙ホテルを必ず実現させたい、という強い思いからでした。
渡米から最初の3年はスペースシャトル事故を含め、アメリカの宇宙開発も
暗いニュースばかりでしたが、今年6月以降の動きは、大げさに言えば
「本当に20年間待ち続けた甲斐があった」
といえるほどエキサイティングなものです。
そのもっとも劇的な動きが今回のMojave Aerospace Ventures社による
Space Ship One連続宇宙飛行成功とX PRIZE賞金獲得です。
その2度の打上げには私も立ち会いましたが、
これまで10年以上にわたって何度も構想が持ち上がっては期待を裏切られてきた
さまざまな有人宇宙船計画とは異なり、成功したビジネスマンが本気で
投資をし、営業開始目標を明確にしてきた様に確実な宇宙旅行時代到来の風を感じました。
ここアメリカ西海岸ではXPRIZE関連の動き以外にも
SpaceX社のファルコンロケット開発、Bigelow Aerospace社の民間宇宙ステーション開発計画、
同じくBigelow氏による民間オービタル宇宙船開発コンペAmerica's Space Prize設立の発表など
枚挙に暇のないほど本当にエキサイティングなプロジェクトが目白押しです。
このような渦中にあっていつも一つさびしく感じるのは日本の動きです。
特にアメリカではいつも「何故日本はあれほどの技術力と経済力を持っているのに
XPRIZEに1チームも参加していないのか?」と聞かれ、答えに窮することがあります。
(XPRIZEにはルーマニアやアルゼンチンのチームも参加しています)
今回の打ち上げ祝賀イベントでSpace Ship One開発責任者のバートルターン氏が
語った一言は大変印象的でした。いわく、
「今回の私たちの成功は、成功それ自体もさることながら、サブ・オービタル宇宙飛行は
民間でも十分可能である、と各国の技術者に証明し、彼らのやる気を喚起できたという
点においても大変意味があったと感じている」
XPRIZE基金では今後数年でたくさんのサブ・オービタル宇宙船による宇宙レース、
XRPIZEカップの開催を企画しています。
そこに日本の宇宙船がその雄姿を現すことを期待しつつ、
私は更にその先の宇宙ホテル構想の実現に向けて、アメリカでの地歩を確実に
固めていくことを改めて決意しました。
STSJ 代表 五月女 剛
写真は五月女氏が提案している宇宙ホテルの図(提供:STSJ)
2004年10月23日 STSJは東京で協会主催宇宙セミナーを開催しました。ここでも五月女さんの宇宙旅行に対する考えや思いが発表されました。セミナーの模様はこちら。
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