2004年のSpaceShipOneの歴史的な初フライトによる衝撃は2005年も広がり続け、また、それは今もなお広がり続けている。Nature誌によれば、その初フライトの成功は取るに足らないものであるけれど、しかし、2005年にSpaceShipOneの本体がSmiathsonian博物館で《大西洋無着陸飛行を成し遂げたスピリット オブ セントルイス号》と《初の超音速飛行を実現したベルX-1 ロケット機》の間に展示されていたこと(航空宇宙の歴史においてこれ以上の名誉なことがあるだろうか?)を考えると、一体、どちらの意見が正しいのか?
もちろん、私たちはSpaceShipOneが過去40年の政府の宇宙政策によるひどい間違いを示すために非常に大きな役割を果たしたことも考えなくてはならない。この間違いとは政府が`民主主義的'でもなく`資本主義的'でもない公的機関による独占状態を作り出したことや、また、40年間国民の1兆ドルの税金を無駄遣い(これは世界的な高い失業率の大きな原因である)してきたことを指す。
今、多くの新しいビジネスが生まれてきているなかで宇宙旅行産業を発展させることは、宇宙へ行くためのコストを削減するための最も迅速で最も効果的な方法である。
SpaceShipOneはその後、2005年VirginGalactic社はSpaceShipTwoに乗客を乗せて宇宙旅行に行くためにさらなる研究・前進を進めている(この前進にはNewMexicoSpaceportの使用の許可も含まれる)ことが昨年の10月に福岡で開催されたIACにおいてIACの今後50年における『個人宇宙旅行革命』の最初の記念すべき事業として発表された。このセッションの詳しい模様は以下の動画でみることができる。(撮影 長谷川)
■セッションの模様
■ディスカッションの模様
■プレスミーティングの模様
■堀江氏のアルマズプロジェクト(ジャパンスペースドリームチーム)の発表の模様
NASAはISSに貨物は人を運ぶために民間企業を採用することに決めたが、そのための援助費用については1年間で100万ドルまでしか出さないとしている。これはNASAの1年間の予算の1%以下の金額であり、そのため、この試みが実現にいたるかははっきりしない。しかし、このことは明らかにNASAの予算縮小の方向性を示しており、このため偶発的ではあるがNASAは変わらざるを得ないかもしれない。そして、おそらく予算縮小に伴う変化は2006年も続くであろう。
また最近では興味深いことに中国政府も宇宙産業について民間企業を利用していくとの発表をした。このことは日本にも影響を与えるだろう。なぜなら、宇宙産業にとって重要な要素であり日本の重要な売りである高い技術力に対する優位性は、中国が宇宙産業(旅行)を発達させることによって減少してしまうので日本の民間宇宙産業の発展のチャンスが一気に衰退してしまうからである。そのため、いつまでも経済成長に貢献しない公的機関による活動だけでは悲しい結末を迎えることは明らかである。
VirginGalactic社をはじめとするアメリカなどの企業のロケットで宇宙旅行をしようとする旅行会社の計画に基づいて、2005年に日本では宇宙旅行に関する問題が重要視されている。このことは2006年もはっきりと続けられるだろう。
榎本大輔さんは秋にソユーズに乗ってISSに行くが、このことは宇宙旅行の重要性や可能性について本当の意味での一般の注目を与えた。
これらの活動はすべてアメリカやヨーロッパの航空機を使っている日本の航空会社のビジネスモデルを参考にしているが、SpaceFutureJapanでは特に宇宙丸プロジェクトのように純日本産による宇宙旅行を考えている。
このことは'宇宙局病'の弊害により経済的にもっとも効果のある宇宙産業のために投資することをしないJAXAの活動よりも、経済的に比べ物にならないほど価値の高い活動である。
2006年の宇宙丸プロジェクトの発展を期待している。
最後になりましたが、2005年、我々に協力し支えて頂いたすべての方々へ深く感謝しますとともに、2006年をさらに良い年にすることを約束します。
SF/J プロデューサー、麻布大学教授 Patrick Collins
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