「宇宙旅行、給料何ヶ月分なら行きますか?」。一般約千人を対象に、航空宇宙技術研のグループが今月から調査をする。
宇宙旅行には米スペースシャトルの発展型の宇宙往還機「スペースプレーン」が欠かせない。日本も研究中だが開発には何兆円もかかる。
このご時世、宇宙とて巨費が簡単に出せるわけではない。そこで、一般の人が支払える限度の金額を知り、それから開発費を逆算するのがアンケートの狙い。従来にない新手法だ。
冷戦終結で世界の宇宙産業は大打撃を受けた。平和利用一筋の日本は痛手が少ない。だが、今後の課題は「コストとマーケティング感覚」と指摘する。日本にはきついハードルだ。
「だからこそ往還機の開発が必要なのです。日本が欧米や中国などの国際競争力をつけるには欠かせません」と説く。それが宇宙旅行などの商業化の道につながるというのが持論。
専門は経済学で、貨幣の兌換(だかん)制度の研究家。たまたま宇宙発電衛星の研究を知り、商業化に関心をもった。一昨年、この分野の先進国日本へ。
四年前、ロシアの宇宙ステーション「ミール」に乗る英国人飛行士に応募。六千人の中から最終候補の六人に残ったが、結局落選した。「宇宙飛行で有名になれば研究資金が得られるから」。その動機も、経済だ。
宇宙を、夢や技術でなく「経済」面から捕らえる。そんな辛口の視点が日本の宇宙開発に新風を吹き込もうとしている。
日本語雑誌を読み、言葉を覚える。論文も日本語で書く親日家。「あと二年はいたい」。日本そのものには甘口だった。
科学部 知野恵子
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