解説: 準軌道旅客ロケットをつくり宇宙旅行を目指すというストーリーを、本当にあってもおかしくないほど現実的に描いた魅力的な映画です。準軌道旅行は低軌道へ行くよりもはるかに簡単な事はご存知でしょうか?2004年にSpaceShipOneが示したように小さな民間プロジェクトで可能な範囲にあります。
この映画は、吉本興業創業90周年&日本テレビ開局50周年を記念して製作されました。はっきりと理由を説明してはいませんが、直観的に宇宙旅行の重要性と伝統的な宇宙産業の失敗を描き出しています。
主役はテレビシリーズと同じくダウンタウンの浜ちゃんで、総合商社の浜田課長が宇宙局を引退したロケットエンジニアの野口博士に偶然出会います。博士は宇宙局にいた時にはつくることが許されなかった低コスト準軌道ロケットの計画を浜田に熱心に語ります。話しを聞くうちに浜田は宇宙へ行くことを望んでいた子供の頃の夢を思い出し、プロジェクトにどんどん夢中になり、はまってしまいます。会社の仕事もそっちのけでプロジェクトを手伝うようになり、家族や会社の同僚の不満は募っていきますが、彼はやめることができません。
有名なアニメ映画「オネアミスの翼」と同じで、浜田や野口博士はなぜこんなに大変な努力をしてまで宇宙へ行くことにこだわるのか自分自身でもわかっていません。しかし彼らは直観的に、それは素晴らしい価値があることを知っています。宇宙旅行を普通の人が一般的なサービスとして利用できるようにすることは、政府宇宙機関の官僚が選んだ活動をするより、はるかに経済的で重要な価値があるという事実をこれは大変よく捉えています。しかし、政府の立場の方々はこれを受け入れることはできず、ほとんど誰も(Space
FutureやBurt Rutan、X PRIZE、Space Frontierなどを除いて)彼らの独占的立場を批評することをあえてしません。
宇宙に行った経験を持つ誰もが言っているように、宇宙飛行は人生で最も素晴らしい経験の一つである事は明らかな事実です。ですから、できるだけ多くの人々が宇宙飛行を経験するようになるのは明らかに良いことでしょう。そのようなサービスが手頃な価格かつ安全性の許容できるレベルで利用できるようになった時、飛行機での旅行のように主要な新しい産業になるでしょう。これは特に新しい産業の欠如による高い失業が続く時代に、非常に高い経済的な価値をつくります。しかし政府と宇宙機関は、これを認めようとしていません。
浜田と野口博士が自身では理解せずにこの考えを表現していたことは、フィルムのマジックと言えるでしょう。浜田の会社の別の部署では衛星ビジネスに投資をしています。まるで宇宙機関のように、彼らはほとんど利益なしでその事業に巨額を費やします。そしてある時彼らは野口博士の工場を訪れ、浜田と彼のプロジェクトをばかにします。浜田は怒りますが、彼が決意した理由を言い表すことができません。しかし実際ロケットを打ち上げる時には、浜田の部下だけではなく威張っていた衛星プロジェクトのメンバーたちも、宇宙へ飛び立つ彼を見にやって来ます。彼らも心のどこかではプロジェクトを支持しており、それはもちろん彼らも他の全ての人と同じように宇宙へ旅行がしたいからです。
映画の中のロケットは使い捨てで、たった一回しか飛行しません。ですから浜田の飛行は結構危険です。なぜならまだ一度も飛ばした事がないそのロケットのファーストフライトに乗るのですよ!プロジェクトの結末で、ロケットは海に落ち、浜田は太平洋上の島にパラシュートで降り立ちます。はたしてどうやって家に帰るのでしょうか?ちょっと続編が必要ですね。
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