2004/09/03 (金)

ダ・ビンチプロジェクト 無謀? 果敢な挑戦?

カナダ政府の飛行許可の問題でANSARI XPRIZE挑戦がピンチになっているカナダのダ・ビンチ・プロジェクトにまたもや困難が立ちはだかっている。
ダ・ビンチチームは今までに十分なテストをしないでいることに対して、さまざまな批判の声があがり議論をよんでいるらしい。

この議論は、いくつかの重要な問題を投げかけている。つまり、できるだけお金をかけずに人間を宇宙空間へと打ち上げる方法を模索する中で、新世代の宇宙冒険者たちにどの程度の自由を与えるべきか? 有人飛行システムの開発においてコストが高く時間もかかる政府主導のやり方から脱却しようとする際、どの程度のリスクなら容認できるのか?

ダ・ビンチ・チームの計画は、巨大なヘリウム気球を飛ばし、宇宙機『ワイルド・ファイアー』を吊るして上空21〜24キロに達した時点でロケットのエンジンを点火し切り離して、上空100キロ以上の弾道飛行をして大気圏に再突入し、パラシュートを開いて地上に降りてくるものである。

この計画に当たり、無謀と言われているのは、ダ・ビンチチームは非常にリスクを伴う打ち上げシステムに関しての全体総合テストを1度も行なったことがない点だ。
これにより、ダ・ビンチ・プロジェクトのロケット打ち上げ予定地であるサスカチュワン州に住むベテランのカナダ人宇宙科学者からも手厳しい非難を受けることになってしまった。

チームリーダのフィニー氏は今まででは、プロジェクトの詳細な情報を明らかにすると資金力に富んだ競争相手が非常に有利になってしまうという理由から、これまでに行なったテストについて語ろうとしてこなかった。

しかし、今回XPRIZE挑戦の10/2まで打ち上げシステムの総合テストやロケットエンジンのテストを行なうことを予定していると伝えた。 フィーニー氏が詳しく話すのは、プロジェクトに疑いの目を向ける人々に対する想いからだ。

しかし、フィーニー氏は、打ち上げ予定日の発表に続いて行なわれたインタビューで、誰かに対して自己弁護する必要も、自分の正しさを証明する必要もなく、根拠もなく勝手に騒いでいるだけということも語り、本当の問題はダ・ビンチ・プロジェクト・チームがどれだけテストをやったかではなく、新しい有人宇宙船をより簡単、迅速かつ安上がりに製作する仕組みづくりことにあると主張している。

SF/Jも主張している点であるが、ANSARI XPRIZEは「この40年間、人間を宇宙に送り出すコストは安くなっておらず、新しいものを生み出すには、これまでとは違う発想、一般の人の固定観念や常識といったものを打ち破る必要がり、危険だとか馬鹿げていると思えるようなアイデアを試してみる必要もある」と言っている。

飛行機の歴史では、1950年代の挑戦者たちは新しいものに挑戦するため、危険なことに果敢に挑戦し、その結果、至る所で命を落とした人が多くいたが、当時はある程度のリスクとして許容されていた風潮があったらしい。

現在においても冒険や新しいものに挑戦するとき、ある程度の危険やリスクは伴うが、今は航空機開拓時代のように命をリスクとしては許容されることはないだろう。
ダ・ビンチ・プロジェクトは無謀なのか?果敢な挑戦なのか?

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