Maneger Hirai:
今年も残すところ後わずか。今年一番の話題はなんと言ってもこれ、SpaceShipOneの宇宙飛行達成でしょう。先月6日、米セントルイスにおいてX-PRIZEの受賞式が行われ、長きに渡った宇宙旅行レースがとうとう終了しました。X
PRIZE関係者の皆様本当にお疲れ様でした。そして感動をありがとう。今頃はゆっくりバカンスを楽しまれているのではないでしょうか?
Staff
Nereus:
いやいや、そんな暇はないでしょう。
Staff Zebra:
そうですよ。X PRIZEの次なる目標X PRIZE
CUPが2006年に迫っていますし、優勝したSpaceShipOneチームは、ヴァージン・ギャラクティック社による2007年の宇宙旅行事業開始に向けて宇宙旅客機SpaceShipTwoを開発中です。
Hirai:
それとは別の流れですがラスベガスでホテルチェーンを経営する大富豪ロバート・ビゲロー氏がAmerica's
Space Prizeを発表しましたよね。
Nereus:
それって、2010年までに地球低軌道上のビゲロー社製・宇宙ホテルに5〜7人を運ぶ低軌道用再使用型ロケット機を開発したチームに、約50億円が与えられるという、X
PRIZEの軌道版のようなレースでしたよね。
すでにSpaceShipOneのエンジンを開発したSpaceDev社や、軌道用のSpaceShipThreeを構想中のバート・ルータン氏、90年代後半にRotonを開発していたゲーリー・ハドソン氏、X
PRIZEに参加していたInter Orbital社などがエントリーを考えているとか。
Zebra:
いやー、時代の風をひしひしとかんじます。
Hirai:
ええ 、もう最近はそのせいでいつも熱っぽくって。<ゴホゴホ>
Nereus:
(それってただのインフルエンザなんじゃ…)
Zebra:
ところで日本でも様々な企業が宇宙旅行に関心を示し、動き始めているようですね。
Nereus:
そう、X PRIZE CUPは日本企業による日本チームの参戦を呼びかけていますし、民間企業が集まって再使用型飛行システム・ワーキング・グループを開催し、宇宙事業検討会を行っています。そしてなんといっても、ITベンチャー企業・Livedoorの堀江社長が、「民間で有人宇宙飛行を3-5年以内に行う!」とJAXA主催のシンポジウムで発表しました。驚くと共に、その熱意に心をうたれました。Livedoorは以前からX
PRIZEの応援も続けています。今後、非常に楽しみです!
Zebra:
それはビック・ニュースですね!SF/Jが選ぶ今年の10大ニュースのトップクラスにランクインですよ。また、元Livedoor
No2の榎本氏が来年宇宙旅行へなんて記事もこの間雑誌のスクープ記事で読みました。電通が高橋尚子級の有名人を宇宙へ送る、と発表したのも以前話題になっていましたね。
Hirai:
メディアもだいぶこの話題で盛り上がってます。なんといっても、日本人の約7割は宇宙旅行に関心がありますから。コリンズ教授もテレビや雑誌で解説される機会が増えています。まだまだ、多くの人は宇宙旅行の現在の状況やこれからの可能性を知らないので、どんどん取り上げてほしいですね。
Zebra:
では実際のところ、日本でスペースシップワンのような再使用型ロケットはつくれるのでしょうか?
Nereus:
RVT!!
Hirai:
即答ですね。
Nereus:
再使用型ロケット実験機・RVTは、現在世界で唯一の完全再使用型・垂直離着陸ロケットです。また軌道まで行く完全再使用型・垂直離着陸ロケット旅客機には観光丸があります。観光丸は、1993年から約10年間、日本ロケット協会により研究され、世界の宇宙旅行研究をリードしてきました。まさにRVTは観光丸への第一歩だと思います。
Hirai:
そしてStep by Setpで軌道に到達することを考えると、次に必要なのが高度100kmまで到達することが出来る有人の準軌道用再使用型ロケット…
Nereus:
コリンズ教授提唱の準軌道再使用型旅客機・宇宙丸ですね。決定!!今すぐ宇宙丸つくるぞ〜っ!!
Hirai:
ちょっと待って下さい。まだいろいろと山積みされている問題について考えていかなければなりません。
Zebra:
それは開発費の問題、つまり日本にポール・アレン氏やリチャード・ブランソン氏のように将来のビジョンを持って宇宙旅客機開発に投資してくれる人がいるのかということでしょうか。また、ITで成功したイーロン・マスク氏やジェフ・ベゾス氏、ジョン・カーマック氏のように自らの手で宇宙旅客機を開発するんだという富豪がいるかということでしょうか。
Nereus:
そうですね。いま時代を先駆けるあの人や、革命児のあの人なんかが宇宙旅行ビジネスに乗り出してくれば…。いつでも説明に行きますよ〜!
Hirai:
たしかに、民間が宇宙旅行事業に取り組むことは非常に重要です。それなしにはビジネスとして成り立ちません。しかし民間のみで全てを行うにはとても時間がかかり、不可能な問題もあります。かつて国産旅客機・YS-11でそうしたように、政府による開発によってリスクをなくし、政策や法律を整備した後、民間が事業を引き継ぐのが望ましいと考えます。日本にはこういった事例が多数ありますので、受け入れやすい考え方です。
Zebra:
宇宙丸プロジェクトが政府からの支援を求めているのは、これまで有人宇宙開発を日本独自で行ってこなかったため「このようなリスクの高い初めての事業を政府の支援なしに日本の民間企業だけで行うことができるのか」という不安要素をなくすためであり、また今日本で実現できる技術をもったエンジニアの方もJAXAの方だということ、他にも航空法の整備などしなければならないことがたくさんあるためで、政府の支援によりこれらを解決して基礎技術を確立し、民間に引き渡すか民間と共同開発を行うのが1つの理想的な方法だということですね。
Nereus:
事業化していくためには、航空法の問題がとても大きい事を認識しています。
政府か民間か。よくこの話題になりますが、結局は官民一丸となって行うのが一番良いと思います。
Hirai:
ビジネスや新産業、教育やチャイナショック対策と、官民どちらにとっても大きな便益があります。そしてビジネスとして成功する場合、スピードが命になります。すでに、アメリカが先行していますし、ヨーロッパやロシア、カナダもすぐに追いつくでしょう。中国や韓国、東南アジア諸国でもその気になればすぐに出来るはずです。「早く始めないと!」いつもコリンズ先生がおっしゃってます。
Zebra:
そして宇宙丸最大の問題…ネーミング。
Hirai:
いや、それは禁句。(汗)勘弁して下さい。
Nereus:
ところで最近の宇宙丸の具体的な動きとして、モックアップについて話してもいいですか。
Hirai:
はい。宇宙丸開発を推進するステップとして、フルスケールの木製モデルの開発が計画されています。その目的は主に研究と教育にあります。モックアップの製作は宇宙丸プロトタイプをつくるための研究に役立ちます。そして、モックアップをトラックに載せ全国の学校や展示場を訪問し、見たり乗ったりしていただく。その横で宇宙旅行授業や講演、状況説明ブリーフィングを行います。
Zebra:
モックアップに乗って宇宙旅行授業をしたら、子供たちは大喜びするでしょうね。自分も大きくなったら、こんなのに乗って宇宙旅行に行けるんだって知ったら、TVゲームに夢中になどなっていられないでしょう。宇宙を旅行したい、宇宙旅客機のパイロットや客室乗務員スペースコンダクターになりたいと思うでしょうし、宇宙旅客機をつくりたいと思う子供もいるでしょう。宇宙旅行や再使用型ロケットについて調べたり、宇宙や星の本を読んだり、理科の面白さに夢中になるかもしれません。
Hirai:
その通り。宇宙旅行は子供たちの興味を引く最大の対象の一つでしょう。最近深刻になっている理科離れ対策になるというのがコリンズ先生の持論ですし、私もそう思います。
Nereus:
興味を持つのは子供だけじゃないと思いますよ。高校生や大学生、若者たちはみんな宇宙旅行へ行きたいですし、先生や、お父さん・お母さんだって宇宙へ行きたいはずですから。
一般の人達だって注目するでしょう。
博覧会や展示会なんかに出展すれば、きっとすごい人気になりますよ。夢が広がりますね。
Zebra:
はい。2005年はそうやって、もっともっとみんなで宇宙丸を盛り上げていきたいですね。
来年最大の注目は…
一同
ずばり宇宙丸!!
Nereus:
SF/Jは皆様と一緒に頑張っていきたいと思います!来年もどうかよろしくお願い致します。
Hirai:
今回は、宇宙丸にスポットを当ててお話しました。
ご意見、ご感想をお待ちしています。
次回をお楽しみに!
一同
ありがとうございました!良いお年を!!
Let's come true The Space Tourism for everyone
right now !!
by Space Future Japan
作成日 2004.12.18
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